「技術は人のために」。ホンダのロボティクス技術に乾杯!

何時も新しいモノは、魅力的に思えました。漫画やアニメでよく取り上げられる「ロボット」はそのような魅力あるものの一つでしょう。産業ロボット開発はもちろんのこと、「ASIMO」の開発は、所謂アトムのような”人型ロボット”を連想されるものでした。さて、開発元のホンダの技術開発への思いに着目してみましょう。

何故「人型ロボット」なのか

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現在、ロボットの中でも特に「人型ロボット」の開発が盛んに行われています。そもそも我々は何故「人型」へ思いを寄せてしまうのか。もしかすると、手塚治虫の「鉄腕アトム」を読んだから、という単純な理由かもしれませんが、それにしても不思議です。「人型ロボット」開発の動機については多くの研究者が語っていますが、日本のロボット開発の第一人者である高西敦夫教授(早稲田大学 理工学)は「ヒトを目標にしています。」と明確に述べています。そもそもヒトの研究の為に、生物学の領分ではないところからアプローチすることが私のような一般人にとっては理解し難いです。しかし、「ヒトの行動や思考をロボットを用いて再現することで、我々ヒトという最大の難関を少しずつ理解していく」ということは理解することができました。そして、現在のロボット開発事情を調査すると、そのほとんどが「人型」へ向けた取り組みであり、これまで私たちの生活を見えないところで支えてきた産業用ロボット開発よりも、より私達の生活に密着した生活支援用ロボットの生産に傾倒しているように思えました。

様々な機関が生活支援ロボットの開発に取り組む中、ホンダはいち早く着手した企業として有名です。

ロボティクス技術の変遷

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出典:www.honda.co.jp

ホンダの人型ロボット開発で一般的によく知られているのは、2000年に発表された「ASIMO」でしょう。私は当時小学生でしたが、これには非常に衝撃を受けました。ちょうどその頃、手塚治虫作品に没頭していた私は、手塚治虫の世界(火の鳥太陽編や鉄腕アトム)がこれからやってくるのだろうとワクワクした覚えがあります。”ヒトとロボットの共生”21世紀になると、漫画の世界で語られた未来がやってくるのだと。

ホンダのロボット技術について、その歴史を踏まえて見ていきましょう。1986年、二足歩行ロボット「E0」が発表されました。「ASIMO」のように、顔があるようなロボットではありませんでしたが、二足歩行の原理を解明する目的で開発されました。そして、これは1993年の「E6」発表まで引き継がれました。同年には、完全自立型ロボットの開発を目的とし、「P1」が開発されました。完全自立型ロボット開発における課題は、如何にして重量を軽くするかでした。なぜなら、一般的なヒトの重量は「P1」の1/2以下であるからです。ヒトと似た動き、つまりヒトと似た二足歩行をすることを実現するために、徹底的に重量にこだわりぬきました。こうして、完全自立型ロボット「ASIMO」が開発されたのです。

「ASIMO」発表から現在も尚、ホンダは高所調査ロボットや作業用アーム、そして体重支持型歩行アシスト等を開発し、私たちの生活を直接支える技術を提供し続けています。

「技術者は哲学を持て」

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従来、ロボット産業は工業といった所謂”産業”に特化した分野でした。しかし、現在は「ヒトを理解する」といった動機にもみられるように、「人間」に密接に関連した分野に少しずつ移行していると思われます。私が子どもの時に読んだ漫画や見たアニメの世界に見られるように、今後はロボットが人間に寄り添い、人間と同様に生活をすることができるかもしれません。このような人間を直接支えることを目的として、様々な企業が研究を多なっているのでしょう。その中でもホンダは、1986年の初期人型ロボットの発表からわずか14年で完全自立型ロボットという「ヒト」に近い種を開発・発表したという点で、優れた技術を持った研究機関と言えるでしょう。ホンダの創業者である本田宗一郎氏の言葉に、「技術者は哲学を持て」とありますが、現在のホンダを創っている社員の方々や研究者の方々にその精神が色濃く残っていることでしょう。宗一郎氏が述べた「哲学」とは果たして何か、それは現在世に送り出している多くの製品を見ると、よく理解できそうな気がします。